介護に関する資格っていろいろなものがあって分かりにくいですよね。
ここでは介護の仕事でおすすめな資格を難易度ランキングにしてご紹介します。
- 介護の資格ってどんなものがあるか知らない人
- 介護の資格の難易度が知りたい人
- これから資格を取りたいと思っているが、おすすめの資格を知りたい人
※難易度ランキングは、試験そのものの難易度より受験資格などのハードルの高さを最も考慮し独自につけています。
介護の資格難易度ランキング
難易度 | 名称 | 合格率 | 受験資格あり |
---|---|---|---|
S | 福祉住環境コーディネーター1級 | 12~13% | アリ |
S | 社会福祉士 | 25~30% | アリ |
A | 介護支援専門員 | 15~20% | アリ |
A | 認定介護福祉士 | - | アリ |
B | 介護福祉士 | 70% | アリ |
B | 福祉住環境コーディネーター2、3級 | 2級:35~45% 3級:58~68% | ナシ |
B | 認知症ライフパートナー1級 | 25~28% | アリ |
B | 認知症ケア専門士 | 50~60% | アリ |
B | 認知症ライフパートナー2級 | 47~57% | ナシ |
C | 介護職員実務者研修 | - | ナシ |
D | 認知症ライフパートナー3級 | 57~71% | ナシ |
D | 初任者研修 | - | ナシ |
D | 介護予防運動指導員 | 90% | アリ |
D | レクリエーション介護士1、2級 | - | 1級は2級合格者 |
D | 喀痰吸引等研修 | - | ナシ |
現場で必須!おすすめの介護資格
介護の仕事を始めるのに無資格でも入ることはできますが、実際仕事を始めると資格取得を勧められますよね。
それに仕事をするうえで知識や技術を持っていた方がいいですし、資格を取得することで仕事の幅も広がり給与にも反映されます。
上記ランキングの中から現場で働くのにおすすめの資格をピックアップします。
介護支援専門員
介護支援専門員というのは、一般的にはケアマネとかケアマネージャーと呼ばれる資格です。
(以降ケアマネと表記します。)
介護を必要とする人と、施設や事業所との間に入って介護サービスの調整をする仕事で、介護福祉士のように介護を実践するというよりデスクワーク主体といえます。
主だった仕事を挙げると ↓ ↓ ↓
ケアマネの仕事
①ケアプランの作成
介護を必要とする高齢者の相談に乗り、自立した生活を送るための目標の設定、必要な介護サービスを提案します。
たとえば「火曜日のこの時間にヘルパーに掃除に来てもらう」、「水曜日はデイサービスに通う」などきめ細かな計画を記したケアプランを作成します。
②施設や事業者との間で調整
ケアプランを作成したら、介護サービス事業者との橋渡しもします。
また、サービスが始まった後も必要に応じてプランの変更、修正も行います。
ケアマネの働く場所
①居宅介護支援事業所
居宅介護支援事業所というのは、自宅で生活する要介護者の支援をする事業所です。
いわゆる「居宅ケアマネ」と呼ばれるものです。
②入居介護施設
有料老人ホーム、介護老人福祉施設などの入居施設です。
いわゆる「施設ケアマネ」。
③地域包括支援センター
その地域に住んでいる高齢者の支援をする相談窓口の役割をするところです。
要支援の認定を受けた利用者のプランを作ったりします。
ケアマネになるメリット
①給与が高い
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」でケアマネの平均給与額を見てみると、介護福祉士などと比べても給与が高く、社会福祉士と同等となっています。
第98表 介護職員の平均給与額等(月給・常勤の者),サービス種類別,保有資格別(処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所)
②介護福祉士より体力的には楽になる
介護の現場で仕事をしていると、いつまで体力が持つか不安になったことはありませんか?
若いうちは気になりませんが、40歳,50歳と年を重ねるにつれて自分自身の体力も衰えてくるのは仕方のないことです。
ケアマネは、事務的な仕事の方が多く体力的には楽になるといえます。
この業界で長く働くために、早めにケアマネの資格を取って準備しておく方もたくさんいます。
③夜勤がない
ケアマネの仕事はケアプランの作成にしても、事業所等との調整にしても日中の仕事になりますので、介護現場の仕事と違い夜勤がありません。
なので体の調子も整えやすいですし、家族の世話をする必要のある方には働きやすい仕事といえます。
介護支援専門員実務研修受講試験について
ケアマネの試験の正式な名前は「介護支援専門員実務研修受講試験」といい、各都道府県が実施する公的資格です。
【試験日】年一回10月に実施
【試験の形式】おおむね5つの選択肢の中から正しいものを選ぶマークシート式で60問。
【試験時間】120分
【合格ライン】その年の難易度で若干調整があるものの正答率70%あればよいと言われています。
【合格率】だいたい15~20%くらいで推移。
【受験料】8000~15000円くらい ※都道府県により違います。
【合格発表】12月初旬~中旬
【受験資格】以下の条件のいずれかを満たす者
①特定の国家資格を保有し、その資格に基づく業務の実務経験が通算5年以上であり、従事した日数が900日以上ある。
特定の国家資格というのは、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士
②介護施設などで相談援助業務などに従事
特定の国家資格を保有していない場合でも、生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として、受験資格に定められる相談援助業務に通算5年以上の従事期間があり、かつ900日以上の従事日数がある。
※各都道府県により違いますので、必ず当該都道府県にご確認ください。
介護支援専門員実務研修
上の「介護支援専門員実務研修受講試験」に晴れて合格してもそれで終わりではありません。
試験翌年「介護支援専門員実務研修」を受講してはじめてケアマネとして仕事をすることができるのです。
【内容】講義と実習に分かれており、合わせて87時間。
講義15日間、実習3日くらいの日程で行われているところが多いようです。
【費用】2万~8万(2020年)※都道府県により違います。
研修の最後には修了試験があります。
認定介護福祉士
認定介護福祉士というのは、2015年から「一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構」が認定を始めた比較的新しい民間資格です。
介護福祉士と何が違うの?
認定介護福祉士は、介護福祉士のキャリアパスとして最上位に位置しており、認定介護福祉士を目標とすることで、介護福祉士の資質の向上につながる仕組みです。
また、認定介護福祉士に求められる役割から判断するに、介護福祉士のように現場で活躍するより、指導やマネジメント業務に仕事の比重が置かれています。
認定介護福祉士の役割は?
認定介護福祉士の役割については、認定介護福祉士認証・認定機構のホームページによると
認定介護福祉士の役割
●介護職の小チーム(ユニット等、5~10名の介護職によるサービス提供チーム)のリーダーに対する教育指導、 介護サービスマネジメントを行い、介護サービスの質を向上させる役割(施設・事業所のサービスマネージャー)
認定介護福祉士認証・認定機構のホームページより
●地域包括ケアを推進するため、介護サービス提供において他職種(医師、看護師、リハビリ職等)との連携・協働を図る役割(介護サービス提供における連携の中核となる者)
●地域における、施設・事業所、ボランティア、家族介護者、介護福祉士等の介護力を引き出し、地域の介護力の向上を図る役割(地域における介護力向上のための助言)
認定介護福祉士には、幅広い知識と十分な介護実践力だけでなく、人材育成力、サービスマネジメント力、他職種や地域の人材とのコミュニケーション力などさまざまな力が必要とされているようです。
認定介護福祉士になるには
「認定介護福祉士養成研修」を受講し、認定介護福祉士認証・認定機構の審査に合格しなければいけません。
【取得条件】まず介護福祉士として実務経験5年以上というのが大前提です。
かつ、約600時間の「認定介護福祉士養成研修」を修了する必要があります。
「認定介護福祉士養成研修」はⅠ類とⅡ類に分かれています。
【実施団体及び費用】研修は、各都道府県の介護福祉士会などが実施しており、したがって費用もそれぞれ違います。
参考までに、2017年に真っ先に開催した長野県介護福祉士会では、費用約60万円で、受講期間約1年9カ月かけています。(ただし会員の場合、費用約35万円)
認定介護福祉士養成研修Ⅰ類
医療や、リハビリ、認知症、福祉用具から住環境など、幅広い知識を新しく学ぶ内容になっています。
【受講資格】
●介護福祉士の資格を取得し、その後5年以上の実務経験がある
●介護職員対象の現任研修の受講歴が100時間以上ある
●研修実施団体のレポートまたは試験で一定水準以上の成績を修めている(一定の要件で免除あり)
※また、サービス提供責任者など介護職の小チームのリーダーとしての実務経験や、居宅・居住(施設)双方の生活支援の経験を持っていることが勧められています。
認定介護福祉士養成研修Ⅱ類
Ⅱ類では主として、人材育成や組織の運営などのマネジメント領域を学びます。
【受講資格】
●認定介護福祉士養成研修Ⅰ類を修了
●介護職の小チームのリーダーの実務経験
Ⅱ類を受講するには、介護職の小チームのリーダーの実務経験は必須条件となっています。居宅・居住(施設)双方の経験は、Ⅱ類においても望ましいとされています。
認定介護福祉士になるメリット
認定介護福祉士は比較的新しい資格ということもあり、人数がまだ少ないです。
考えられるメリットとしては、
①医療や、リハビリなど他職種とも交流が多く、研修後も幅広い知識の吸収ができ、より質の高いサービス提供が出来る。
②介護福祉士よりも、技術や知識などスキルが豊富ということが証明されますので、転職などにより有利な可能性。
③マネジメントなども学んでいるので、管理職など目指すには有利ではないでしょうか。
今後、認定介護福祉士の人数が増えてくれば、待遇面でのメリットなども明らかになって来ると思います。
介護福祉士
介護資格でただひとつだけの国家資格です。
介護の現場の実働部隊としては最上位の資格でもあり、特に人気があります。
介護福祉士の仕事って
①身体介護
食事介助、入浴介助、排泄介助、体位変換、移乗など直接体に触れて行う介助をはじめ、着替えや髭剃り、爪切りなど身だしなみを整えたりすることも身体介助です。
②生活支援
身体介護以外で、たとえば掃除や洗濯、調理などの日常の生活で本人ではできないことを行います。買い物の代行なども生活支援にあたります。
③相談、助言
要介護者や家族からの相談に乗ったり助言したりすることもあります。
たとえば、家庭での介護のやり方、介護サービスや福祉用具のことなど様々なことを相談されることがあり、それについて助言したり、必要な部署に橋渡ししたりします。
④マネジメント
介護チームのリーダーとして、他の職員を指導、教育したり、業務の管理をしたりとマネジメントを任されることもあります。
介護福祉士資格を取るメリットは
①スキルの証明である
国家資格ということは、知識や技術に対して国がお墨付きを与えているということです。
利用者やその家族からの信頼も得られますし、就職や転職でも有利になります。
②給与アップ
介護福祉士は国家資格なので当然資格手当がつき給与はアップが見込めます。
③キャリアアップできる
介護福祉士からケアマネや、最近では認定介護福祉士という上位資格があります。
どちらも受験資格として介護福祉士の資格が条件となっています。
キャリアアップを考えるならば、介護福祉士を取得しない手はありません。
④2019年より訪問介護事業所にはサービス提供責任者を設置しなければいけません。
サービス提供責任者になるには、介護福祉士資格を持つもの、または介護福祉士実務者研修を修了したものであることが必要です。
介護福祉士資格試験について
【試験日】年に1回、1月に筆記試験、3月に実技試験
【試験地】筆記試験は全国35会場、実技試験は東京、大阪
【受験料】18,380円
【合格基準】筆記試験は、総得点の60%を基準にして難易度で補正した点を上回ること。かつ各科目で点を得ていること。
実技試験も同様に、総得点の60%を基準にして難易度によって補正した点を上回ること。
【合格率】70%前後で推移
【受験資格】以下の通り ↓ ↓ ↓
介護福祉士試験を受験するには、上の図のように4つのルートがあります。
※必ず「社会福祉振興・試験センターホームページで詳細をご確認ください。
①養成施設ルート
●高等学校等卒業資格を持ち、介護福祉士養成施設に2年以上通い卒業
●高等学校等卒業資格を持ち、福祉系大学等、社会福祉士養成施設等、保育士養成施設等を卒業後、介護福祉士養成施設に1年以上通い卒業
②実務経験ルート
●実務経験を3年以上積んで、実務者研修を修了
●実務経験を3年以上積んで、介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修を修了
③福祉系高校ルート
●平成21年度以降に福祉系高校入学し卒業した者
●福祉系特例高校へ入学し、卒業後実務経験を9カ月以上積んだ者(ただし介護技術講習を受けた者は実技免除される)
●平成20年度以前に福祉系高校に入学した者(介護技術講習を受けた者は実技免除される)
④EPAルート
EPA経済連携協定によって、インドネシアやフィリピン、ベトナムから介護福祉士候補者が来日して介護の仕事に従事しています。
EPA介護福祉士候補者は、日本で実務経験を3年以上積めば受験資格を得られます。(介護技術講習を受ければ実技免除される)
実務経験ルートについて
実務経験ルートは、介護の現場で仕事をしながら介護福祉士を目指すスタイルですので、他業界から転職してきた人など多いのではないでしょうか。
実務経験ルートには2つのコースがあります。
●3年以上の実務経験 + 実務者研修
●3年以上の実務経験 + 介護職員基礎研修 + 喀痰吸引等研修
です。
3年以上の実務経験は、詳しくいうと従業期間が3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上の両方を満たす必要があります。
従業期間というのは、対象の職場、業務に在職した期間のことで、この期間が1095日以上ということです。
従事日数は、対象の職場、業務に実際従事した日数をいいます。日数なので短時間勤務でもよいですが、休日などは従事していないのでカウントできません。
※注意したいのは「介護職員基礎研修」です。
「介護職員基礎研修」というのは既に廃止されたので現在行われていません。
また名称が紛らわしいですが「介護職員初任者研修」とは別のものです。
ということで、現在実務経験ルートとして主流である実務研修について以下で取り上げたいと思います。
介護福祉士実務者研修
介護職員実務者研修は、介護福祉士の資格取得を目指すならば必須の資格です。
平成28年度から介護福祉士試験の受験資格として、3年以上の実務経験だけでなく、この介護福祉士実務者研修が必須になりました。
(以下実務者研修と表記します)
介護福祉士実務者研修を取得するメリットは
①給与アップ
初任者研修と比べるとより高度な知識や技術を持っていることの証明になりますし、さらに上級の介護福祉士を取得することにつながるので給与はアップしていきます。
また、訪問介護事業所に設置が義務付けられているサービス提供責任者になるには、この実務者研修を修了しているか介護福祉士の資格が必要になっていますので、自ずと給与が上がっていくことが期待されます。
②サービス提供責任者になれる
①でも書きましたが、2019年4月より訪問介護事業所にサービス提供責任者を置くことが必須となりました。
サービス提供責任者になるには、実務者研修の修了または介護福祉士の資格を持っていることが条件です。
③介護福祉士の受験資格
介護福祉士になるにはいくつかのルートがありますが、その中のひとつ実務経験ルートでは、3年以上の実務経験とこの実務者研修を修了することを受験資格としています。
実務研修を修了すれば、介護福祉士の資格取得へ道が開けます。
④業務の幅が広がる
以前は喀痰吸引と経管栄養は医療行為として医師や看護師でなければできませんでした。
しかし、実務者研修を修了したあと一定の要件のもと喀痰吸引と経管栄養が出来るようになりました。
実務者研修を受講するには
【受講資格】なし
【受講場所】民間の資格スクールや、介護施設を運用している会社などがあります。
【難易度、合格率】
実務者研修には試験実施をしなければならない決まりがありません。
ただ、スクール独自で修了試験を設けているところがほとんどです。
内容は、それまでの受講内容の振り返り、確認のような意味合いなので、きちんと受講し、内容を理解していれば決して難しくはありません。
受講費用について
費用は受講する方がどんな資格を持っているかによって幅があります。
5~23万円くらいの開きがあると考えておきましょう。
さらに、地域差、受講する通信講座やスクール、キャンペーン期間中かどうかによっても違います。
予算やスクーリングのしやすさなど資料を集めて比較検討して、ご自分の条件に合う講座を選ぶのがおすすめです。
求職中であればハローワークの職業訓練で受講することも可能です。その場合テキスト代くらいで受講できるので費用面でからり抑えることが出来ます。
ただし、希望者が多い場合、選考試験があり必ずしも受講できるとは限りません。
また、平日の日中に行われますので働きながら受講というのには向かないかもしれません。
※ハローワークによって開講している講座が違いますのでご確認ください。
受講内容と期間について
実務者研修を取得するには、20科目450時間受講しなければいけません。
内容は、介護の基本やコミュニケーション術、食事介助や移乗などの介護技術、こころとからだ、喀痰吸引など医療的ケアなど幅広い内容になっています。
受講時間450時間ですが、すでに取得している資格と重複する講義は免除されるため必要な受講時間は以下のようになっています。
取得している資格 | 免除される時間 | 受講に必要な時間 |
---|---|---|
無資格 | 0 | 450 |
介護職員初任者研修 | 130 | 320 |
ヘルパー1級 | 355 | 95 |
ヘルパー2級 | 130 | 320 |
ヘルパー3級 | 30 | 420 |
介護職員基礎研修 | 400 | 50 |
※ただし医療的ケアを行うにはこの450時間と別に実地研修を受ける必要があります。
受講期間については標準的には6カ月間とされています。
しかし先に述べたように所有する資格により受講期間にも違いが出てきますので、6カ月というのは無資格の人の受講期間のことです。
実務者研修は通信だけでは取得できず、必ずスクーリングが必要です。
なので、受講期間は保有資格による必要受講時間とは別に、地域やスクールの通学日数の違いによっても変わってきます。
スクールを決める時は、資料をいくつか取り寄せて比較検討するのをおすすめします。
実務者研修修了して介護福祉士になった人が喀痰吸引等を実施するには
介護福祉士が喀痰吸引や経管栄養を実施するには、基本研修(講義+演習)と実地研修を受けなければいけません。
実務者研修の「医療的ケア」では基本研修(講義と演習)部分だけを修了していますので、実地研修は別途履修する必要があります。
ではどのようにすればよいかというと(例:熊本県)
①就業先の事業所(「登録喀痰吸引等事業者」として都道府県に登録している事業所でなければならない)で実地研修をして、修了証を発行してもらう。
↓
社会福祉振興・試験センターへ実地研修を修了した行為の登録申請をする。
↓
介護福祉士登録証に喀痰吸引等が付記される
↓
介護福祉士登録証に付記された行為の業務のみ登録喀痰吸引等事業者にて実施可能となります。
※各都道府県のホームページに詳しい手続き等掲載されています。必ずご確認ください。
②就業先の事業所が登録喀痰吸引等事業者としての登録をしていない場合
↓
登録研修機関が実施する「喀痰吸引等研修」を受講する
↓
喀痰吸引等修了証を受領
↓
各都道府県に認定特定行為業務従事者認定証を申請、交付
↓
登録特定行為事業者にて喀痰吸引等を実施可能
喀痰吸引等研修とは?
研修を修了してもどこでも喀痰吸引等ができるわけではありません。
以下の要件を満たす必要があります。
- 事業者が登録事業者(登録喀痰吸引等事業者・登録特定行為事業者)であること
- 事業者が登録を受けた行為で、登録証に付記された行為、従業者認定を受けた行為のみが可能であること
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、以前のホームヘルパー2級と同等とされていて、介護の資格の中ではもっとも取りやすい資格にあたります。
介護職員初任者研修を取得するメリット
①介護の仕事がまったく未経験でも受けることができる
受講資格の制限がありません。
②介護の基本的なことを学ぶことが出来る
介護の他の資格にくらべ、受講時間も130時間と少なく受講しやすい資格でありながら、介護の現場で使える基礎的なスキルを学ぶことができます。
③訪問介護事業所で就職を考えるなら必須
訪問介護サービスは、一人で利用者の家を訪問し、掃除や調理などの生活支援や入浴、排せつなどの身体介護を行いますので、無資格では就職は難しいです。
(無資格での募集をしているところの多くは、老人ホームなど別施設で働きながら資格取得の勉強をしてもらい、取得後訪問介護に入ってもらうスタイルを取っているようです。)
介護職員初任者研修を取得するには
【受験資格】なし
【費用】7~10万円がほとんどです。
【受講期間】1~4カ月くらい(スクーリングに週何回通えるかで違ってきます)
【受講場所】民間の資格スクールや、介護施設を運営や派遣をしている会社などが主です。
【研修の内容】
介護に必要な基本的な内容(認知症の理解や支援の技術など)を座学と実技で合計130時間
+修了試験
【難易度と合格率】
テキストを読み、講座を真面目に受講していれば合格できるレベルです。修了試験も学習の振り返り、得た知識の確認の意味合いが強いです。
受講費用について
ほとんどのスクールが7~10万円くらいです。
ただし、スクールによっては関連の施設に就職することで、受講費用を実質0円にしているところもあります。
また、条件を満たせば厚生労働省の支援制度である教育訓練給付制度を受け、修了後受講料の20%が給付されます。
さらに、求職中であればハローワークの職業訓練で受講することもできます。
その場合費用がテキスト代くらいで受講できますので費用が格段に抑えられます。
ただ、職業訓練は希望者が多く、受講するのに選考試験をクリアする必要があります。
また、平日の日中に行われますので働きながら受講というのには向かないかもしれません。
※ハローワークによって、開講している訓練が違いますので確認してください。
受講期間について
よく通信のみで取得できるかという質問がありますが、残念ながらそれは無理です。
実技講座がありますので、どうしてもスクーリングが必要です。
そのためほとんどが通信+スクーリングで取得することになります。
(すべてスクーリングで受講するところもあります)
ほとんどのスクールが通信35~40時間、スクーリングを15、16日間(一日6、7時間)にしています。
また、全日(朝から夕方)コース、夜間コース、土日コースなど複数のコースを用意しています。
したがってスクーリングに週何回通えるか、一回当たりの時間(夜間だと一回の時間が短い)で取得するまでの期間が変わります。
たとえば
日中時間がある人は
全日で週4回通う → 約1カ月
働きながら夜の時間に通いたい
夜間で週2回通う → 約4カ月
休みの日に通いたい
全日で週1回通う → 約2カ月
という具合に、どのように受講計画を立てるかで期間は変わってきます。
介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修どっちを受講するべき?
介護福祉士実務者研修と介護職員初任者研修、どちらも受験資格なしで資格取得を狙えますが、どっちを受講するべきか迷うところですよね。
結論を先に言うと、最終的に介護福祉士を目指すのかとか、費用、時間の都合などそれぞれの状況に応じて選択するということになります。
実務者研修と初任者研修の共通点
①どちらも受験資格なしで受講できる
②科目がかぶっている
実務者研修と初任者研修の講義では共通する科目があります。それは9科目、時間にして130時間にもなります。そのため初任者研修を取得している人は実務者研修を受ける時に、その130時間分を免除されます。
実務者研修と初任者研修の違いは
①初任者研修は修了試験がある
初任者研修では修了試験が義務付けられています。とはいえ、そんなに難しいものではなく講義を通じて得た知識の振り返りのようなレベルといわれています。
実務者研修は修了試験は義務付けられていませんが、スクールによって内容を振り返るため試験を課すところもあるようです。
②費用と取得までの時間と労力が違う
無資格の人が受けるには、費用面では10万円ほどの開きがあり、講座の受講時間も初任者研修130時間に対して実務者研修は450時間と格段に違います。
③介護福祉士を受験できるのは、実務者研修のみ
初任者研修のみ持っている人は、実務者研修を修了しなければ介護福祉士の受験資格が得られません。
実務者研修と初任者研修どちらを受けるべきか
実務者研修がおすすめな人
①介護福祉士をめざそうとする人
初任者研修を取得してから実務者研修を受けようとすると、初任者研修でカバーしていない講座を探して予定を立てるなければなりません。
最初から実務者研修を受講した方がスケジュール管理等も楽にできます。
②費用、時間にゆとりがある人
実務者研修はそれなりに費用も時間も必要になります。
初任者研修を修了して実務者研修を受けると費用がかさむので、余裕があればストレートに実務者研修を受けるのがおすすめです。
初任者研修がおすすめな人
①介護業界をよく知らない人
介護の仕事をよく知らないで仕事を始めようとする場合、やってみたら合わなかったという場合もあります。
こういった場合、実務者研修を受けると費用も時間も無駄にしてしまいますので、まず初任者研修を受けてこの先も続けたい気持ちがあれば、実務者研修、さらに介護福祉士を目指す方がいいかもしれません。
②費用や時間にゆとりがないが、まずは知識を得たい人
初任者研修にくらべ、実務者研修は費用も時間もかなりかかってしまいます。
費用も時間も節約しながらも、まずは知識を得たい、少しでも業務の幅を広げたいという人には初任者研修を先に受講して働きながら次を目指すのもおすすめです。
喀痰吸引等研修
喀痰吸引等研修は、平成24年の「社会福祉士及び介護福祉士法」一部改正により新たに設けられたもので、一定の要件を満たせば介護職員にも痰の吸引や経管栄養の医療行為が認められるようになりました。
そのための研修がこの喀痰吸引等研修になります。
喀痰吸引等研修を受講するメリットは
喀痰吸引等研修を受けることで、本来では医師や看護師でなければ出来なかった医療行為である喀痰吸引や経管栄養が出来るようになりスキルが増えます。
今後団塊世代が後期高齢者になり、介護施設などでも喀痰吸引、経管栄養等を必要とする人が増えると見込まれるので、そういったスキルのある介護職が必要とされると思われます。
喀痰吸引等研修を受講できる人
介護施設や事業所に勤務している介護職は喀痰吸引等研修を受講できます。
介護福祉士や介護職員初任者研修の修了者も受講できます。
実務者研修を修了して介護福祉士試験に合格している人は、実務者研修で「医療的ケア」を受講しているので実地研修のみ修了して必要な手続きをすれば喀痰吸引等を実施することが出来ます。
喀痰吸引等研修の中身は
喀痰吸引等研修は基本研修と実地研修に分かれており、中身は以下のようになっています。
①基本研修(講義+演習)
基本講習で喀痰吸引と経管栄養の学習をし、演習ではシュミレーターを使ってそれぞれの行為を学習します。
これは実務者研修でも「医療的ケア」として同じ内容を学びます。
②実地研修
実地研修では以下の内容の研修を行います。
●口腔内の喀痰吸引
●鼻腔内の喀痰吸引
●気管カニューレ内部の喀痰吸引
●胃ろう又は腸ろうによる経管栄養
●経鼻経管栄養
喀痰吸引等研修は3つの種類があります
喀痰吸引等研修は第1号研修、第2号研修、第3号研修の3つの種類があります。
第1号研修と第2号研修は不特定多数の利用者を対象にしており、第3号研修は重症心身障がいなどを患っている特定の利用者を対象にしています。
どれを受けるかは受講者が選べるようになっています。
第1号研修、第2号研修は基本研修が講義50時間+演習となっていますが、第3号研修は講義と演修を合わせても9時間と短い講習になっています。
喀痰吸引等研修を実施している事業所は、各都道府県のホームページに掲載されています。
手続きの流れ(例:熊本県)
実地研修まで修了したら、喀痰吸引等修了証を受領
↓
各都道府県に申請し「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受ける
↓
登録特定行為事業者にて実施可能
※喀痰吸引等研修を実施している事業者などは各都道府県のホームページに掲載されています。必ずご確認ください。
研修を修了してもどこでもなんでもできるわけではありません。
以下の要件を満たす必要があります。
- 事業者が登録事業者(登録喀痰吸引等事業者・登録特定行為事業者)であること
- 事業者が登録を受けた行為で、従業者認定を受けた行為のみが可能であること
まだ介護福祉士でなければ実務者研修がお得
介護職員初任者研修やヘルパー資格等をお持ちで、喀痰吸引研修と実務者研修+実地研修のどちらのコースで行くか迷っている人は実務者研修の方がお得です。
なぜなら
- 介護福祉士資格取得の道がひらける
- 喀痰吸引研修よりも幅広い知識や技術を得られるので現場でも役に立つ
- サービス提供責任者になれる
移乗のように、実務者研修+実地研修コースの方が選択肢も、仕事の幅も広がるからです。
その他の介護系資格
福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは、高齢者や体が不自由な人が生活しやすい住環境を整えるために設置された資格です。
これからますます福祉や介護の視点を取り入れて住宅を新築、リフォームすることが必要になると思われます。
介護、福祉の知識と建築に関する知識や技術の両方が必要なため、特に1級などはハードルが高くなりますが、その分取得できると介護業界だけでなく建築業界など活躍の幅が広がります。
仕事の内容
①その人それぞれに合った住環境を提案
単に段差をなくしたり手すりをつけたりだけでは不十分で、暮らしやすい住宅にするにはその人それぞれの身体状況などを見極めニーズに対応することが欠かせません。
そのためには医療、福祉、建築の分野に通じ、提案や調整ができる人材が必要とされています。
②その人に会った福祉用具や介助用品を提案
福祉用具や介助用品もたくさんの種類があります。
その人の身体状況にあった用具を紹介したり選択のアドバイスするのも仕事です。
③2級以上は「住宅改修費支給申請の理由書」の作成
2級以上を取得すると、高齢者や障碍者が安全に暮らすための改修工事に対して自治体より支給される「住宅改修費」の申請に必要な「住宅改修費支給申請の理由書」を作成することが出来るようになります。
試験概要
3級試験、2級試験
【受験資格】なし
【試験期間】年2回(7月頃、11月頃)
【試験形式】マークシート式(試験時間90分)
【試験方式】IBT方式、CBT方式
【合格基準】100点満点中70点以上
【内容】
3級については、生活者の視点での福祉住環境整備の基礎知識で構成されているので個人的なリフォームなどで役立つ内容です。
就職、転職など仕事面で生かすには2級以上とされています。
実際のところ受験者数も2級が一番に多く、また、医療、福祉、介護従事者が仕事+αの知識として活かす目的であれば2級試験が妥当といえます。
※3級、2級は受験資格なしのため、3級をとばして2級から受験することもできます。
※IBT方式とは、自分の端末、ネット環境を利用し受験する方式のことです。
CBT方式は、各地のテストセンターのパソコンを使って受験する方式です。
1級試験
【受験資格】2級合格者
【試験期間】年1回(11月)
【試験形式】前半マークシート式(試験時間90分)、後半記述式(試験時間90分)
【試験方式】CBT方式
【合格基準】前半、後半とも100点満点中70点以上
【内容】
個々の住まいを超えて、ケアハウスなど社会福祉施設や、福祉のまちづくりといったスケールの大きな業務に重点を置いています。
したがって、行政の都市整備担当者や大規模な施設の設計等に関わる人々向けの資格です。
※CBT方式は、各地のテストセンターのパソコンを使って受験する方式です。
何から始める介護の資格
介護の資格にはいろいろな種類がありますが、何から取得すればいいのかおさらいします。
上の図のように、介護職員初任者研修、または介護福祉士実務者研修からスタート。
そして実務経験を積んだら介護福祉士を取得。
その後は新しい認定介護福祉士を目指したり、あるいは介護支援専門員を目指すのが王道といえます。
もちろん介護福祉士としていつまでも利用者さんと直接関りを持つのもいいですが、体力的にはだんだん厳しくなっていくと思われますので、やはり認定介護福祉士や介護支援専門員は視野に入れた方がいいと思います。
まとめ
介護の仕事は無資格から始めることもできますが、実際は仕事を始めてから資格取得を勧められることが多いです。
また、資格を取得すると
- 知識や技術が身につく
- 出来る仕事の範囲が広がる
- 給与が上がる
など本人にとってもメリットがたくさんあります。
何から資格取得を目指せばいいかというと、まずは、介護職員初任者研修か介護福祉士実務者研修から始めて介護福祉士を狙うのが王道といえます。
そこから先は認定介護福祉士の道やケアマネ(介護支援専門員)の道もあります。
介護関係の資格を見ていくと、受験資格として学校で専門教育を受けなければいけないような社会人にはハードルの高いものは少ないです。
ほとんどの資格が、少し努力は必要ですが働きながら取得できるものばかりなので、ぜひ資格取得を目指して頑張ってほしいと思います。